初夏の第九

7月5日は病気療養中の井上マエストロの代わり、大植栄治氏がOEK定期公演に初登場だそうです。
その会場で、大植マエストロのご厚意で展示されていたのがベ―ト―ヴェンのあの『第九』の自筆譜の複写。
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・・・やっぱりきちゃないな・・・
他にも『運命と呼ばないで』の表紙に使われている5番「運命」と破られたというエピソードにもある3番「英雄」の自筆譜も展示されてました。

今回の第九で驚いたのが随所に挿入されていた大植新演出。
去年聴いたウィーンフィルのドイツの祝祭的で重厚な第九とはまた違う、もっと落ち着いた音色で「自由にやろうぜ!」みたいな。合唱団が入ってくるタイミングとか、四楽章の合唱の最高潮で大植さんが指揮の手を止めて一緒に歌い出したり、舞台演出が効いた今まで見たこと無い第九に仕上がっていた。普通は第二楽章が終わった時点でソリストと合唱団が入場→三楽章→間髪入れずに四楽章という流れだけど、今回のは四楽章に入っても入場してこなくてハラハラしてたら、歓喜の主題が始まったところで音楽のBGMに合わせてソリストが一人ずつゆっくり入場、合唱団が入場、→合唱という計算された流れ。これは他にも前例があるのかしらん?私は今回初めて見て「こういうのもあるのか!」と驚いた。
初演時の雰囲気は残してたけど、フロイデフロイデ〜!みたいにひたすら盛り上がるのではなく、最終回といった落ち着きさがあって、最後は徐々に失踪していき、大いに盛り上げて終了。今回のベトベンチクルスを初回から追っかけていた身としては映画のエンドロールを見ているような感じでした。私としては大満足の出来。

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演奏終了後の大植さんのサイン会では長蛇の列だったけど、マエストロは一人ずつ丁寧に対応してました。サインした後必ず握手してくれたり、ちょっと枯れた声とか雰囲気がまんまベトベン。

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イラストレーターまりこさんお手製の大植マエストロ缶バッチなり。

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【おまけ】ベートーヴェンの第九の自筆譜(複写)の上に載せられている無礼な物体