さよなら平成 ようこそ令和

平成最後に美しいものを見ようと思い、能登へ行ってきました。(実は親戚の法事があったのですが)ルートは七尾美術館の「長谷川等伯展」⇒隠れキリシタンの寺「本行寺」⇒「花嫁のれん館」⇒その後は一本杉通りから能登食祭市場をふらふらと

のと里山街道(長谷川等伯のふるさと能登国の国宝「松林図屏風」 の原風景)

この日はあいにく小雨が降り続いていたのですが、湿り気のある空気が等伯の湿潤な絵を観るには丁度よかったのかも。肉筆から受ける感触は、実際に視ないと体験できない感動があります。国宝の《松林図屏風》は国立東京博物館所蔵なので見ることはできないかなと思えば、複製画が飾られていました。ありがたや。等伯の絵の凄さは、絵と余白の空間の絶妙なバランスが素晴らしい。

この地の風習として伝わっている「花嫁のれん」は、それまで映画の知識でしか知らず…今回の旅の成り行きで立ち寄ったようなもんでした。幕末から明治時代にかけて加賀藩の領地である能登・加賀・越中で始まり、現在も続いている婚礼の風習だそうです。私の母に尋ねてみれば、伯母たちも実家ののれんをくぐって嫁に行ったそうな。一生に一度しか使われない婚礼道具なので、儀式が終われば箪笥にしまわれたままほとんど使われないとか。(勿体ない…)私が訪れた時間はちょうど着付け体験のカップルがのれんをくぐるところでした。

明治から平成、そして令和へ。時代が変わる寂しさはあれど、その地に残る精神はいつまでも変わらずに「あるもの」として受け継がれていく。大切にしてほしい。そんなことをぼんやり思いながら自宅の(普通の)のれんをくぐった。